2010年度 日本臨床矯正歯科医会東海支部 総会併設講演会
2010年4月15日(木曜日)午後6時〜8時
場所:〒460-0003 名古屋市中区錦三丁目22番20号
ダイテックサカエ 7階
今回の講演会は、会場の関係で一般の方のご参加は適いませんのでご了解下さい。
「矯正歯科と精神科的問題」
豊福 明 教授豊福 明 先生
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
全人的医療開発学系専攻
包括診療歯科学講座
歯科心身医学分野 教授
咬合や審美の問題は歯科治療のゴール設定が難しい。治療の成否には患者の主観を無視できないからである。この主観が健常でない患者の場合、歯科医学的には問題ない治療を施しても、何に由来するのか理解困難な愁訴に発展することがしばしばある。そのような症例の最たるものが、いわゆる「心の病」の患者群であろう。
歯科の中でも矯正科は、統合失調症や人格障害あるいは身体醜形障害などの精神障害患者と遭遇する機会が特に多い。これらの精神障害が主に思春期から青年期に発症するため、学童期から長年にわたる矯正治療の時期とオーバーラップしやすいからである。小児期は素直な良い子で、当初は全く問題なかったのに、途中から奇異な言動や理不尽な要求が出現し困惑させられることがある。精神科医に相談したくてもなかなか敷居が高いのが実情であろう、さらに精神科医は歯科のことが分からないことが多い。「機械的にやってもらって構いません」「やってみなきゃ分らないでしょう」などと言われ、却って患者の執拗な治療要求がエスカレートし困窮することもある。
また、特に精神障害の既往がない成人例においても、治療中に様々な全身的不定愁訴が出現し、いわゆる歯科心身症の様相を呈する患者がいる。このような患者が咬合と全身症状とを関連付け、深刻なトラブルとなる場合も少なからず経験される。
このような患者をどう見極め、どう対応するか、唯一無二の正解はないように思われるが、自験例を中心に具体的な対処法をお話したい。
日常臨床での遭遇頻度が急増する歯科心身症患者への対応法(1)
基本編:「歯科心身症」と「精神病」の違いと臨床現場でのとらえ方
the Quintessence.Vol.28 No.2/2009-0379〜0386 P.145〜152
日常臨床での遭遇頻度が急増する歯科心身症患者への対応法(2)
臨床編:「歯科心身症」に開業医が対応できる境界線をケースから学ぶ
the Quintessence.Vol.28 No.3/2009-0603〜0611 P.135〜143